園内案内

農業体験ハウス

農業体験ハウス
(鉄骨造(ガラス張り) A=580㎡)

「地下水冷暖房装置」、「バイオマス暖房機」など再生可能エネルギーと省エネルギー機器をフル活用して「トマトの夏越し長期どり栽培」などの技術を発信します。

トマトの栽培は、日本海側と太平洋側では大きく異なっています。

一般的にトマトの生産量が多い太平洋側では、秋にトマトの苗を植えて、冬を越し、真夏になる前に栽培を終わります。これは、冬場でも、十分な日光を得ることができるため、暖房をかければ収穫を継続しながら冬越しすることができるからです。

トマト

北陸など日本海側では、冬は雪が降るなど天候が悪く日照不足なことから、トマトは冬越しをすることができません。また、真夏になるとハウスの温度が40℃を超えるため、夏を越すこともできないため、春と秋の2回に分けてトマトを栽培し出荷しています。

「なんとか、低コストで真夏を乗り越えることができないか?」この課題解決に向けて、石川県では、地下水を熱源とした冷房装置を使って、トマトの成長する部分をスポットで冷やすことで、真夏を乗り越えて栽培する技術を開発し、東園地の農業体験ハウスにおいて展示しています。

また、機械を動かす電気は、隣接する太陽光発電設備から供給しており、農業体験ハウスでは、化石燃料の使用を極力抑えています。

地下水冷暖房装置のしくみ
地下水冷暖房装置のしくみ

「トマトの夏越し長期どり栽培」は新たな収益向上技術として小松市を中心に広がりをみせています。

JA小松市新規就農支援センター提供
「JA小松市新規就農支援センター提供」

農業体験ハウスでは、トマトの他に、エアリーフローラは、石川県が8年をかけて開発したフリージアの新品種の「エアリーフローラ」を栽培しています。優雅な、軽快な、という意味の「エアリー」と、春と花と豊穣を司るローマ神話の女神「フローラ」から名付けられました。花言葉は「希望」で、キャッチフレーズは春先に花が咲くことから「旅立ちを祝う花」です。

農業体験ハウスでは、毎年2~4月にかけて花が咲き、ハウスの中はエアリーフローラの甘い香りに包まれます。

花は大きく、花びらの形は一重と八重があり、香りは甘いフローラルな中にスパイシーさもあって、それぞれ個性的です。

花

日本人の好みに合う中間色とカラーバリエーションの豊富さが特徴です。2012年春に7色でデビューし、その後2017年に3色、2020年に1色追加され、現在11色となっています。

花

農業体験ハウスでは、トマト、エアリーフローラの他に年間を通して「ベビーリーフ」、「リーフレタス」なども栽培しています。

ベビーリーフは、何種類もの若い葉っぱをミックスした葉物野菜のことで、サラダやいろんな料理のトッピングなどに使われる人気の野菜です。
農業体験ハウスでは、8種類のリーフレタスなどを栽培しており、年間を通してベビーリーフが収穫できる環境を作っています。

ベビーリーフ

ベビーリーフは水耕栽培という方法で育てています。水耕栽培とは、普通は土を使って育てている植物を、水と液体の肥料を使って栽培する方法です。

最初に種から芽をだすために苗を育てる育苗器に種を蒔きます。1ヶ月ほど育てて、根っこが十分に伸びた頃、栽培ベッドへ移動させます。そこから2週間ほどかけて、10センチ程度に生育したらベビーリーフの収穫ができます。

ベビーリーフ

秋から春にかけて、気温の低い時期に収穫されるベビーリーフなどの軟弱野菜は、ゆっくり育つために栄養分も多く、やわらかいのが特徴です。スムージーやジュースにして食べてみてください。きっと新しい発見があるはずです。

再生可能エネルギーを活用した12の設備や機器たち

07.再エネ電気

農業体験ハウスで使用する電力は、隣接する太陽光発電設備から供給されます。
天候が良く、電気をあまり使わない春・秋などは太陽光発電設備からの電気で、ほぼ賄うことができますが、天候が悪い冬や電気を多く使う夏などは、太陽光発電だけでは、どうしても電気が不足してしまいます。
このため、不足する電気は電力会社から水力・太陽光・風力等の再生可能エネルギー電源由来の電気を購入しています。

08.地下水冷暖房装置

再エネの種類:地熱
冷房能力:6~6.5kW

農業体験ハウスでは、ハウス内の温度や湿度を調整するために年間を通じて温度が一定である地下水や温泉水を熱源に、夏季は冷房、冬季は暖房を行います。地下水の品質に影響を受けないよう、太い銅管を32mに渡りコイル状に巻き、効率よく熱交換を行っています。

地下水冷暖房装置

夏には地下水冷暖房装置に温度の低い地下水を流すことで、冷たい空気をつくり、ダクトを通してトマトを冷やしています。また、地下水が流れるパイプを栽培ベッドの中に通して植物の根っこを冷やしたり、天井から霧状に噴射することでハウス内が乾燥しすぎないようにする技術も取り入れています。

地下水冷暖房装置のしくみ
地下水冷暖房装置のしくみ

外の気温が低くなる秋から冬にかけては、地下水冷暖房装置に温泉水を流すことで、暖かい空気をつくりだして暖房装置としてトマトの栽培に利用することができます。

このように自然エネルギーを利用することで、電気や石油などの利用を抑え、二酸化炭素の排出を削減した環境にやさしい栽培を行っています。

09.バイオマス暖房機

再エネの種類:バイオマス
暖房能力:44.8kW(最大)

里山資源再生ハウスで製造されるペレットを燃料とした暖房機です。洗濯機みたいに動く炉の中でペレットを完全燃焼させ、効率よく熱を取り出します。

バイオマス暖房機

バイオマスとは、木材や動植物などの生き物からできた資源のことで、太陽光や風力などと同じく何度でも繰り返し利用することができる再生可能エネルギーのひとつです。

農業体験ハウスでは、冬にハウス内を温める暖房機の燃料としてバイオマス燃料である木質ペレットを利用しています。 木質ペレットを燃やすと地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されますが、木は成長する時に二酸化炭素を吸収して育つため、二酸化炭素の排出は実質ゼロ(カーボンニュートラル)とされています。

この木質ペレットは東園地の里山資源再生ハウスでつくったものです。原料となる木材は、里山を適切に維持管理するために行う間伐作業で発生した間伐材で、これまではほとんど利用されていませんでした。東園地では、そのような未利用間伐材を原料にすることで、里山資源の有効活用に取り組んでいます。

ペレットの作り方はこちら
木質ペレット

10.ミスト冷却装置

再エネの種類:地熱

地下水をとても細かい霧にして蒸発させると空気が冷えます。気化熱の原理を利用しています。

また、ミスト冷却することで、農業体験ハウス内の湿度を高め、過度の乾燥を防止し、トマトなどの野菜の成長を促します。

ミスト冷却装置

11.農業用LED照明

省エネルギー機器

北陸の冬は雪が降るなど、野菜に必要な日光が不足するので、農業用LED照明で効率よく光を補っています。

LED照明を導入すると、天候の変化に左右されにくく、計画的に安定した生産が期待できます。 また、蛍光灯や白熱電球に比べて消費電力が少ないため、省エネルギーであるほか、 また光源に熱を持たないため、施設内が必要以上に暖まることがありません。

農業用LED照明

12.ヒートポンプ冷暖房装置

省エネルギー機器
暖房定格:18kW(COP 5.81)
冷房定格:16kW(COP 4.75)

太陽光発電で供給される電気を、効率よく熱に変換し、冷房と暖房に活用しています。

気体を圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質を活用して、ヒートポンプの中で、冷媒を圧縮による温度上昇と膨張による温度低下を繰り返しながら循環し、空気中の熱を集めて冷暖房を行います。

ヒートポンプは熱を「作る」のではなく、空気中の熱を集めて「移動させる」だけなので、熱を作ることに比べて省エネルギーです。また、空気中の熱のほとんどは、太陽によるもので、その意味では再生可能エネルギーを活用しているとも言えます。

COPとは、直接電気を熱に変換する場合を1として、ヒートポンプが得られる熱の倍数で、非常に熱効率が高いことが分かります。

ヒートポンプ冷暖房装置